コラム

⑥神道のご葬儀、祖霊のまつり

◇神道のご葬儀

神道では、生命は神様のワケミタマを受けてこの世に生まれてくると考え、またその魂はこの世を去って神様の世界に帰るのだと考えます。(これを帰幽といいます)
誕生の喜びをお祭りするだけでなく、葬儀も死者のためにするものとして、神道でも神職が奉仕して葬儀を執り行います。焼香などの代わりに神道ではお供え物や玉串を捧げます。合掌ではなく「しのび手」という音を立てない拍手をして、死者の魂と向き合います。
こうした儀礼は人間だけがおこなう神聖な儀式です。
古来より日本人は、亡くなった後の霊魂(れいこん)はこの世に永く留まり、愛する人々や子孫の繁栄を助け、幸福を見守っていると信じてきました。「神葬祭」は神道式で行われる葬儀のことで、故人の尊い命の終わりを悲しみ、在りし日の遺徳を偲びつつ、御霊(みたま)の安鎭を祈ることを本義としています。
葬送の儀礼をする期間は、死者の魂の行く末に心を配りますから、神棚などの儀礼や神社参拝は遠慮して執行しません。
地域や神社によって順序や内容に違いがありますが、現在福岡県内で行われている祭儀の一例をご紹介します。

帰幽奉告(きゆうほうこく)
故人が亡くなった旨を産土(うぶすな)神(氏神)様や自宅の神棚、御霊舎に奉告します。

枕直(まくらなお)しの儀
遺体を整え、安置する部屋に移します。

納棺(のうかん)の儀
遺体を柩(ひつぎ)に納めます。

柩前日供(きゅうぜんにっく)の儀
発柩(出棺)までの間、朝夕に生前と変わらぬ食事をお供えします。

通夜祭(つやさい)
夜を徹して故人の御霊(みたま)を慰めるおまつりです。

遷霊祭(せんれいさい)
故人の御霊を霊璽(れいじ)という白木の「みしるし」に遷(うつ)し留めるおまつりです。

発柩祭(はっきゅうさい)
柩を葬儀場(火葬場)に向かって発柩(出棺)する際のおまつりです。

発柩後祓除の儀(はっきゅうごはらいのぞき)
家に残った家族や家をお祓(はら)いします。

葬場祭(告別式)(そうじょうさい)
故人に最後の別れをするおまつりです。

火葬祭(かそうさい)
火葬に付す前に火葬場にて行うおまつりです。

納骨(のうこつ)祭(埋葬祭)
遺骨(遺体)を納骨(埋葬)する際のおまつりです。

帰家(きか)祭
葬儀が滞りなく終了したことを霊前に奉告するおまつりです。

霊前(れいぜん)祭
葬場祭(告別式)の翌日・十日毎に、御霊を慰めるおまつりを行います。

忌明清祓(いみあけきよはらい)
五十日祭を終え、家中をお祓いします。喪中の為自粛していた神棚のまつりを再開します。

合祀(ごうし)祭
故人の御霊を、仮御霊舎から祖先を祀る御霊舎に遷すおまつりです。

百日(ひゃくにち)祭
亡くなってから百日目に行います。

初中元(はつちゅうげん)祭
初中元(初盆)に行います。

春季祖霊祭
三月春分の日もしくは春彼岸の期間中に行います。

秋季祖霊祭
九月秋分の日もしくは秋彼岸の期間中に行います。

年祭(ねんさい)
満一年、三年、五年、十年、以後十年毎に行います。

まつりあげ
五十年祭を節目として、祖先神と一体にする合祀を行います。

 

◇祖霊のまつり

春分の日、秋分の日は祖先をおまつりする日です。
もともと日本では、春夏秋冬(春分・盆・秋分・年末)に先祖をおまつりしてきました。
あの世に行って戻るはずの無い先祖の魂ですが、身近に先祖の魂は存在しているという日本古来の信仰により、盆行事や年末年始などときどきの祭りを受けに、家に帰ってくると信じ、先祖を慰めてきたのです。

 

②忌中の考え方、服忌表、罪ケガレと清め塩について

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